これから新卒採用活動が本格化していく時期。
会社の成長に貢献する人材の確保は、採用担当者の皆様にとって、もっとも重要な課題の1つです。
また、昨年から続いているコロナ禍の影響で、オンラインを活用したリモート面接など、採用活動の方法にも大きな変化が生まれています。学生の価値観も多様化するなか、優秀な人材をしっかりと確保するためには、面接官の果たす役割がとても重要になってきています。
本記事では、面接官トレーニングの必要性と効果について、具体的なプログラム例なども示しながらお伝えしていきます。
現代は価値観が多様化した時代といわれますが、それは就職活動に取り組む学生についても当てはまります。
かつてのように、大企業や有名企業に入ること、そうして安定を手にすることだけが人生の幸せなのではなく、自分の将来像と適しているか、本当に自分のやりたいことができる環境なのか、それらの観点からしっかりと考え、その分だけ事前の下調べも十分に行ったうえで、就職活動に臨む学生が圧倒的に増えてきています。
価値観が多様化したことで、最終的にどの企業を志望するかの判断材料は、名前や企業規模といった外的条件ではなくなりました。
その代わりに、何を大切にしている会社なのか、どんな人たちがどんな雰囲気で働いているのか、自分を成長させてくれる環境なのかといった、その企業の「中身」の部分が重視されるようになりました。
数ある接点のなかでも、「中身」をもっともリアルに感じられる機会こそが、面接に他ならないというわけです。
ここで、昨今の内定者の動向を見ていくことにしましょう。
まず、内定率および内定辞退率についてですが、直近3年間を見てみると、内定が出される時期は確実に早期化していることがわかります。それに伴って、内定を辞退する時期も以前より明らかに早まっています。
内定出しの時期が早まっているということは、それだけ優秀な人材確保に向けた競争が激化していることを意味しています。
そして、せっかく内定を出したのに辞退されてしまうと、そこからの挽回は非常に厳しいものとなってしまいます。
また、1人の学生が獲得する内定の数に着目してみると、同じく直近3年間の状況から、二極化が進んでいるものと見て取ることができます。
二極化とは1社しか内定を獲得できない学生と複数の内定を獲得する学生との差が顕著になっているということであり、6割近い学生が複数の内定を獲得しています。3社以上の内定をもらう学生は30%を超え、5社以上から内定を得る猛者が約8%もいます。
ここからも優秀な人材確保の競争は激化していることがわかります。
学生にとって、Webを通じたコミュニケーションはもはや当たり前になっています。したがって、いったんオンラインの活用を十分には行えない企業であると判断されてしまうと、学生の志望度は大きく低下し、優秀な人材は他社へと流れていきます。
学生が企業のリアルなオンライン活用レベルに触れられる機会は限られており、面接はその数少ない1つです。
つまり、うまく接続できない、不適切な発言が漏れてくるといったことが起こると、学生はまちがいなくシビアな判断をくだします。
単に1人の学生からシビアに判断されるというだけではなく、悪い情報は瞬時に、SNSなどを通じて拡散することになります。
「web面接なのに遅刻してきた」「画面の向こうで下ばかり向いている」「音声がしょっちゅう途切れる」「途中で話を遮られる」、これらはすべて、SNSで実際に拡散された学生たちの声です。
このような対応を受けた学生は、流行り言葉に乗って「ブラック決定!」というコメントまでつけてしまいます。企業にとっては非常に大きなリスクであるといえます。
学生の価値観が大きく変化し、企業の「中身」の部分が重視されるようになりました。
優秀な人材確保に向けた競争が日々激化するなか、面接は学生が企業の「中身」に触れる絶好の機会であり、採用活動におけるその役割は非常に大きなものとなってきています。
実際のところ、面接官の態度や言動といった振舞いに不快感を覚えたことがその企業に入社したくないと思った理由のトップにきており、その割合は63%にも上ります。
「相手の話にしっかりと耳を傾けることができない」「画面越しだからといって下ばかり見ている」「話しの途中で平気で遮る」、このような面接官の振舞いは、明らかにトレーニング不足に起因していきます。
ここまで見てきた学生の生の声などもふまえると、オンラインを活用したリモート面接であっても、面接官のトレーニング不足は確実に見抜かれると考えるべきです。むしろ、対面で空気が伝わるリアル面接の場合よりも、細心の注意が必要であるといって差し支えありません。
面接官が十分なトレーニングを受けていなければ、上記のような不適切な振舞いをくり返してしまうおそれが強くなります。その結果、学生からは「ブラック決定!」などのありがたくない評価がくだされ、さらにはSNSを経由してそれが瞬時に拡散されてしまいます。
こうしたオンラインをめぐるさまざまなリスクに対応することができなければ、優秀な人材が確保できないだけではなく、企業としてのブランドイメージ等にもマイナスの影響が生じてしまいます。
企業としてのブランドイメージはもちろんのこと、社会からの信頼を大きく損なってしまうのが不祥事です。
今もなお採用活動をめぐる企業の不祥事は尽きることがありません。
面接官のトレーニングが不足していると、個人の思想信条や嗜好、プライベートに関わる質問、各種ハラスメントに該当する言動を悪意もないままにくり返してしまうおそれがあります。それが公になれば不祥事です。企業としては非常に大きなダメージを被ることになります。
ここまで、主に学生との関係から見たリスクについて見てきました。
ですが、リスクが対外的な部分に限られるわけではなく、社内においても生じる点に注意が必要です。
面接官をトレーニングする意識の低い企業では、「リーダーシップのある学生を採用したい」などポジティブワードを採用基準にしているケースが多いといえます。
しかし、学生のポジティブな部分に優劣をつけるのは難しく、結果的に採用基準にバラツキが生じ、優秀な学生を確保できない結果につながります。
上記のようなバラツキによるマイナスをなくすためには、「挨拶ができない」「志望度が低い」などといったネガティブな要素を不合格の基準として設定するのが効果的です。
そのうえで、ポジティブな要素については「のぞましい条件」という形で定めておきます。
これらの点を、面接官トレーニングを通じて共有することによって、面接官の間に生じる混乱が解消されます。トレーニングには求める人材像の明確化という役割もあるわけです。
以上の点から、面接官トレーニングの効果を次のようにまとめることができます。
特にオンラインを活用した採用活動の場合には、相手の姿が見えにくいことで学生は強い不安を覚えていきます。重要な学生との接点である面接で、十分なトレーニングを積んだ面接官が適切な振舞いを示すことによって、学生はその企業に好印象を抱き、それまで以上に志望度を高めるものと期待できます。
そのような学生が増えることによって、優秀な人材を確保できる可能性が増え、採用活動を成功に導くことができます。
リアルでの面接はもちろんのこと、特にオンラインを用いたリモート面接の場合には、面接官の振舞いの良し悪しが企業の評価に直結します。
十分にトレーニングを重ねた面接官が適切に対応することによって、面接時の不適切な言動、その結果がSNS経由で拡散してしまうといったリスクをかぎりなく小さくすることができます。優秀な人材が去っていく確率も低くなり、人材確保上のリスクも極小化することが可能となります。
面接官トレーニングを通じて、採用基準を明確化し、それをしっかりと共有することによって、バラツキのない面接を実施することができます。その結果、判断基準にもブレがなくなり、全体的に質の高い人材を確保することが可能となります。
このような採用活動を継続することで、社内に優秀な人材が増えていき、企業としての成長に大きく貢献してくれるものと期待できます。
採用活動の根幹を担っているのが面接であり、それだけ面接官トレーニングが重要になってくるのです。
□ 自社の採用媒体及び採用ページを熟読している
□ 説明会の内容や募集要項・福利厚生を把握している
□ オンライン面接の事前準備(音声や画像など)は毎回行っている
□ 採用の目線(合格基準)は統一されている
□ 主観は交えずに客観的な判断ができている
□ 緊張をほぐすための雑談は適切にできている
□ 厚労省が定める採用選考のガイドラインを理解している
□ 学生への質問事項を予め考えている
□ 学生の志望度を高めることができるトークができる
□ 面接のロールプレイを行っている
上記のなかでチェックが入らない項目は、すぐに面接官トレーニングを行う必要があります。
上記のような効果を発揮するための面接官トレーニングについて、弊社では以下のような研修プログラムをご用意しています。
ご要望に応じてカスタマイズすることもできますので、ご遠慮なくお問合せください。
ここまで見てきたとおり、時代の変化とともに学生の価値観も多様化し、採用活動の方法も多岐に渡っています。
その分だけ、企業と学生との「結び目」が重要になってきており、採用活動においてその役割を一番に担っているのが面接であるといってまちがいありません。
これからの採用活動にとって、十分な面接官トレーニングは必須の準備といえるでしょう。激しい競争を勝ち抜くためにも、早期の実施をご検討いただければと考えています。