変化の激しい時代にあって、ビジネスを取り巻く環境はいっそう厳しさを増しています。また、政府が推進する「働き方改革」や時代の変化に伴って、社員の価値観も非常に多様化しています。
こうした難局を乗り越え、組織としての生産性を高めていくためには、たしかなリーダーシップの発揮が求められています。
本記事では、質の高いリーダーシップの発揮を促し、部下や下位者のモチベーションを高め、組織全体のアウトプットの質を高めていく。そのサイクルを実現するために効果のある、リーダーシップ研修について詳しくお伝えしていきます。
リーダーシップは、ビジネスの場面で頻繁に用いられる言葉でありながら、その定義は幅広く、簡単に説明することはできません。
ドラッカーは「仕事・責任・信頼」と表現しましたが、リーダーの大切な「仕事」であり、リーダーにはそれを発揮すべき「責任」があり、十分に発揮することによって多くの「信頼」を獲得していくことができます。
リーダーシップの目的は部下や下位者から良質な行動を引き出す点にありますが、そのためにはまず、自らが良質な行動を発揮する。だからこそ、リーダーシップを行動発揮と捉えることができるのです。
リーダーシップと同じく頻繁に用いられるのがマネジメントという言葉です。
これらを混同して考える向きも少なくありませんが、両者は明らかに別物と考えるべきです。
リーダー自身が良質な行動を発揮したからといって、それだけで部下や下位者の行動を引き出せるわけではありません。
部下や下位者から良質な行動を引き出すには、体系だった手法が必要になってきます。それらの手法こそがマネジメントであって、「マネジメントスキル」という表現が成り立つ理由でもあります。
「リーダーシップスキル」」という言葉が存在しないことからも、この点が理解できます。
リーダーシップとは、経営者や管理職など、組織のリーダーと呼ばれる人たちに必要な資質だと誤解されがちです。
しかし、先に述べた通りリーダーシップとは良質な行動の発揮であり、誰もがそれを主体的に発揮することができます。
例えば、「自ら考え、行動し、成果を出す」とは新入社員などにもよく言われることですが、これも十分なリーダーシップの発揮です。
組織にプラスの価値を提供するための良質な行動発揮は、社員全員に求められているのだといえます。
現代のビジネスを取り巻く環境は、競争や変化の激しさによって非常に厳しさが増しています。
さらに、社会の価値観が多様化し、グローバル化も進展していくなかで、多様な価値観を1つの方向にまとめあげていくのはとても難しい作業になりました。
だからこそ、経営者や管理職だけがリーダーシップを発揮するのではなく、誰もがそれを発揮することで、組織全体の力を高めていく必要があるのです。
そのために今、リーダーシップ研修の重要性が増しています。
リーダーシップを発揮するうえで、ボスとリーダーとのちがいを知ることがとても重要といえます。
ボスとは部下や下位者を権威や恐怖によって仕事に追い立てる存在であり、他方、リーダーとは、自らの志と行動によって部下や下位者を巻き込み、自らの意思で良質な行動へと導く存在です。
「強いリーダーシップ」という言葉が語られる場面も少なくありませんが、それは決してボスとして振舞うことを求めているのではありません。
自らの行動発揮によって部下や下位者を巻き込む、その強度が問題なのだと理解する必要があります。
部下や下位者を巻き込み、自発的な行動へ導くためには、ドラッカーの定義にもあるように、部下や下位者との信頼関係を十分に構築する必要があります。
それをリーダーシップ研修では、信頼の蓄積と表現しています。
社会学者のE・P・ホランダーが提唱した「信頼蓄積理論」を踏まえ、信頼の蓄積には積立貯金のように、自分にできるところから少しずつ、しかし確実に貯めることが重要である点を、以下の3つの観点から理解します。
価値観の異なる相手であっても、ちがいを積極的に受け容れ尊重する姿勢を示すことによって、多くの信頼を獲得することができます。
相手の立場に立ち、相手が大切にしていることを理解し、相手の可能性を信じて仕事を任せる。やりがいはそのまま、質の高いアウトプットに直結します。
相手を尊重し、やりがいを生み出すことがリーダーに求められる資質の1つです。
部下や下位者のミスを「自分事」と受け止められるかどうか。自分よりも立場が下のメンバーに責任を押しつけるリーダーが、多くの信頼を得られるはずはありません。
常に自分に矢印を向け、未来志向で物事を考えていく。ミスを責めるのではなく、どうしたら成功するのかを一緒に考える。
今、自分たちにできることが何かを考え、それを愚直に実行していく姿勢こそが、部下や下位者に信頼感を与えて、組織全体の行動の質を高めていくのです。
質の高い行動発揮は、高い倫理観によってもたらされます。
常に自らが率先垂範し、そのうえで部下や下位者にも同じ行動を期待する。言行不一致のリーダーに信頼が集まることはありません。
自分が誤った場合は率直にミスを認め、謙虚さを忘れることなく、相手にも同じ率直さで意見を求める。そんな環境づくりもリーダーの重要な仕事です。
これらの素養をリーダーシップ研修では誠実さと表現し、リーダーには不可欠のものとしてお伝えしていきます。
現状の課題を受講者がそれぞれに認識し、研修を通じて得た気づきを明日からの行動変容につなげます。
良質なリーダーシップを発揮するうえで必要な行動や考え方、また、部下や下位者に対する振舞いを、これまでの受講者の考え方や行動と徹底的に比較することによって、今の自分に足りない部分を見出します。
多くのケーススタディを取り入れた実践的な学びによって、受講者の行動変容を強く促す効果があります。
受講者が研修で得た気づきを行動変容につなげることによって、リーダーシップの発揮レベルが大きく向上します。
良質なリーダーシップの発揮は部下や下位者のモチベーションを高め、自らが主体的に考え、行動し、結果につなげる、という良質なサイクルを実現します。
個々のメンバーの行動の質が高まれば、組織全体としてのアウトプットの質も向上します。組織の生産性が向上し、これまでにない成果を上げることが期待できます。
リーダーはもちろんのこと、部下や下位者も高いモチベーションを維持することで、仕事の質が向上し、組織の生産性を高める。それがリーダーシップ研修の最大の効果であることは事実です。
しかし、効果はこれだけにとどまらず、仕事にやりがいを感じるメンバーが増えることで、離職率の低下も期待することができます。
近年は若年層の離職率の高さが問題となっていますが、こうした課題にもしっかりと応えていくところが、リーダーシップ研修が必要とされる理由にもなっています。
上記の効果をもたらすリーダーシップ研修について、弊社では以下のような研修プログラムをご用意しています。
お客様のご要望に応じて内容をカスタマイズすることも可能ですので、まずはご遠慮なくお問合せください。
ここまで見てきたように、組織全体としての仕事の質を高めていくには、良質なリーダーシップの発揮を起点として、組織のなかにモチベーションの高いメンバーを増やし、「誰もが主体的に考え、行動し、成果につなげる」といった好循環を生み出す必要があります。
本文中でもお伝えした通り、これからの時代は、経営者や管理職以外のメンバーにもリーダーシップの発揮が求められます。
いち早く時代の波を乗り越えるために、早期の実施をご検討いただければ幸いです。