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2021.12.20
コラム

新入社員研修のカリキュラムの作り方

企業の人材育成を受講生の側から眺めたとき、新入社員研修は社会人として最初に受講する研修であり、その後の育成方法とも深く結びついている点で、非常に重要な意味を持っています。

 

毎年必ず実施するからこそ前例踏襲に陥る恐れもあるなか、いかに効果的なプログラムを作成し実践できるかが、その後の社員の成長を大きく左右することになります。

 

本記事では、そのような新入社員研修の重要性やよく実施されている内容を紹介し、そのうえで効果的なカリキュラムを作成するための3つのポイントについて詳しく解説していきます。

新入社員研修の重要性

●新入社員研修の目的

短期的な視点での目的

新入社員研修の重要性は、その目的を正確に理解することでさらに腹落ちするものと考えます。

 

目的には短期的/中長期的の2つがあり、前者の視点での目的は、新入社員の早期の戦力化を実現することにあります。配属先となる現場で新人をゼロから育成するのは難しく、研修の効果がもっとも期待される部分であるといえます。

 

短期的に身につけるべき視点やスキルとして、次のような内容を挙げることができます。

 

❏ 学生と社会人との違いを理解する

❏ 社会人であることの責任や会社への影響を理解する

❏ 企業文化や社内ルールなどを理解する

❏ 一般的な知識や基礎的なスキルを身につける

 

 

中長期的な視点に立った目的

社会人になってからも学び続ける必要があるのは明らかであり、新入社員研修はその最初の一歩となります。

 

学びの大切さ、自ら学ぶ姿勢を身につけ、それを継続する意義を理解できれば、継続的な成長を実現することができます。

 

新入社員研修からは少し話がそれますが、将来的には「フォロワーシップ研修」や「キャリアプラン研修」などにつなげていくことで、さらなる成長の機会を提供することも可能です。

 

 

●新入社員研修でよく実施される内容

ビジネスマナー研修

新入社員研修にとっては短期的な目的の実現が不可欠であり、社会人として身につけるべき基礎を広く学ぶことが強く期待されています。

 

その最たるものがビジネスマナーであり、ほとんどすべての企業が新入社員研修のメニューに取り入れています。

 

挨拶、身だしなみ、表情や態度、お辞儀の仕方、言葉遣い、名刺交換、電話応対、来客対応、応接室や車のなかでの席順、さらにエレベーター内での立ち位置といった点を漏れなく知識として身につけていきます。

 

 

コミュニケーション研修

新入社員には、上司や先輩が話す内容をしっかりと「聴く力」、「報連相」や質問をする際などに自分の思いをしっかりと「伝える力」の2つが必要であり、コミュニケーション研修を通じてこれら2つの力を高めていく場合が多くあります。

 

自分の意見を職場のメンバーに正しく発信していく、メンバーの意図を正確に把握し自分の仕事に活かしていく。

 

これらの力を身につけることによって、将来的には課題認識力や問題解決力の向上につなげることができます。

 

 

基礎的なスキル研修

「営業力研修」や「プレゼンテーション研修」、「企画力研修」など、仕事の種類によって実施する内容は違ってきますが、特に配属先が決まった後にはそれぞれの部門ごとに、基礎的なスキルを身につけるための研修を個別に実施する場合が多くあります。

 

研修の企画や手配は大変ですが、基礎的なスキル研修を実施することによって、早期の戦力化に近づけることができます。

 

上述の通り配属先での実施は困難ですので、新入社員研修のなかで実施するのが望ましいといえます。

新入社員研修のカリキュラムを作る際の3つのポイント

●POINT① 会社として求める「人材像」を明確化する

「人材像」とは目指すべきゴールである

新入社員研修のカリキュラムを考える際には、3つのポイントを確実に押さえる必要があります。

 

最初のポイントは、会社として求める「人材像」を明確化すること。お題目のような理念ではなく、目指すべきゴールを、わかりやすい言葉で、ていねいに伝えていく必要があります。

 

自分が今からこの会社でどのように努力を積み重ねていけばよいのか。それを教えてくれるものこそが、会社が求める理想の人材像に他なりません。

 

 

研修とは理想と現実との「ギャップ」を埋める手段である

これは新入社員研修に限らずどの研修にも当てはまることなのですが、研修とはあくまで1つの手段に過ぎません。

 

社員に期待する理想=求める人材像と、それぞれの階層ごとの社員の現実を比較し、両者の間に存在する「ギャップ」を埋めていく。そのための手段が研修なのです。

 

この点を誤解してしまうと、研修を実施すること自体が目的へと転じてしまいます。

 

新入社員の場合は特に、こうした手段と目的の転倒が大きなマイナス効果を生み出すので注意が必要です。

 

 

●POINT② 配属先の「ニーズ」を十分に把握する

「ニーズ」とは人材像を把握するための手がかりである

会社として求めるべき人材像を明確化し、わかりやすく伝えることはとても重要です。とはいえ、それだけでは必ずしも十分ではありません。

 

理想の人材像を具体的な要素として定め、それらを研修のメニューに取り込んでいくことで、さらに効果的な新入社員研修を設計することができます。

 

そのために必要なのが、配属先である現場の「ニーズ」を正確に把握する作業です。

 

このニーズを手がかりとして、研修カリキュラムを作成していくことになります。

 

 

新入社員が身につけるべきスキルを特定する

配属先のニーズを把握することによって、今の新入社員に期待されていること=身につけるべきスキルが明確になります。

 

それぞれの現場で必要とされるスキルを特定することによって、それを身につけるための手段もまた具体化してきます。

 

真に実りある新入社員研修を実施するためには、現場のニーズとの結びつきが必要不可欠であり、事前のヒアリングが非常に重要になってきます。配属後の役割を見越しながら、研修を設計していく姿勢が求められているのだといえます。

 

 

●POINT③ 「現在地」から実施すべき内容を決定する

新入社員の「現在地」を正確に理解する

真に実りある研修設計を実現するには、配属先である現場のニーズを正確に把握するだけでは必ずしも十分とはいえません。

 

新入社員に身につけてほしいスキルとは1つの「理想」に過ぎず、それを本当に身につけられるかどうかは、比較の対象となる新入社員の「現在地」=現実を十分把握できているか否かにかかっています。

 

内定者研修などコミュニケーションの機会を用意して、その年の新入社員の状況をしっかりと把握していきましょう。

 

 

身につけるべきスキルとのギャップを埋めていく

理想としての現場のニーズ=新入社員が身につけるべきスキルと、新入社員の現在地=現実。

 

これらがしっかりと把握できていてはじめて、ギャップを特定することが可能となります。つまり、それらのギャップを埋める手段が明確になるということです。

 

正確にいうと、この段階ではじめて新入社員研修のカリキュラムを具体的に作成する段階へと移ることができます。

 

どのような手段でギャップを埋めていくのか。その観点で具体的なメニューを考案していくことになります。

内製/外注を判断する際のポイント

●内製をおすすめするプログラム

内製をお薦めするプログラムとしては、基礎的なスキルに関わる研修を挙げることができます。

 

日々の仕事で必要とされるスキルには、一般には「ポータブルスキル」とも呼ばれる、業種・業態を問わないものも存在します。

 

しかしながら、「その会社の仕事で」必要とされる要素が非常に大きく、それらをしっかりと身につけた先輩が講師となってリアリティ溢れる講義を展開する方が、知識の定着がしっかりと図れるものと考えます。

 

 

●外注をおすすめするプログラム

他方、外注をおすすめするのが、ビジネスマナーやコミュニケーション研修など、汎用性の高いテーマを扱うプログラムです。

 

ビジネスマナーやコミュニケーションには、「自分が何を思ったか」よりも「相手がどう受け止めたか」という視点が重要になってきます。

 

だからこそ、「相手の視点」を深く理解する目的から、外部の講師を起用するのが望ましいといえます。

 

また、社会に出ることの厳しさを体感する意味でも、社外講師との接点を持つことは重要です。

 

 

●こんな進め方もあります

上記のような観点に立ったとき、2つの問題が生じる場合があります。

 

1つには、「講師を担える人材は社内にいるが、テキストの作成ができない」。もう1つには、「テキストはまとまっているが、現場の人員を講師として派遣できない」。

 

これらに関して、研修会社によって対応は異なりますが、少なくとも弊社では、テキストの作成のみ、もしくは講師の派遣のみといった対応も可能です。個々のご事情に応じて、柔軟に対応してまいります。

おわりに

ここまでお伝えしてきた通り、学生から社会人へとマインドを切り替える第一歩として、さらに、会社として求める理想の人材像や、配属前に身につけるべきマナーやスキルを伝える場として、新入社員研修は非常に重要な意味を持っています。

 

中長期的な人材の成長に向けた一歩として、近い将来のフォローアップも含めた効果的かつ一貫したプログラムの作成が必要不可欠であり、早期の着手をご検討いただければ幸いです。

 

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