「ロジカルシンキング」という言葉は、ビジネスの場面のみならず様々な場面で語られています。
とはいえ、「ロジカルシンキングとは何か?」と正面切って質問されると、「論理的思考」と直訳する場合がほとんどであると推察します。
ロジカルシンキング研修では、ロジカルシンキングを要素に分解し、その本質的な構造を理解するところから始めます。そうすることで、単にフレームワークの知識を身につけるだけに終わらない、実効性のある学びを実現することができます。
本記事では、そんなロジカルシンキング研修の目的と効果について詳しくお伝えします。
「論理」という言葉には、「言葉と言葉、または、文と文との関係」という意味が備わっています。
関係とは「つながり」であり、言葉と言葉、文と文とのつながりに注意して考えることこそが論理的思考に他なりません。
フレームワークを活用して考える=論理的思考という誤解は根強いですが、どれだけ思考を「型」に当てはめたところで、それぞれの要素のつながりが不確かなものであれば、仕事上の成果へとつなげることはできません。
期待される成果と、それを実現する手段との間に確かな「つながり」はあるか。
トラブルの原因を分析する際などに、特定した原因と結果がしっかりと結びついているか。
ロジカルシンキングとは、これらの問いに答えていくための強力な武器の1つです。
そのときにカギとなるのが「なぜ」という疑問詞で、どれだけ「なぜ」をくり返したかによってつながりの強さが違ってきます。言い換えれば、「なぜ」の数だけ論理的思考が深まっていくということです。
課題とは期待される成果であり、それを正確に認識できなければ論理的思考を始めることなどできません。
にもかかわらず、「もうわかってるから」と、このプロセスをいい加減に済ませてしまうケースが少なくありません。
その結果、いわゆる「ボタンの掛け違え」によって、期待される成果を出せない、成果を出すまでに時間がかかるといったマイナスが生じてしまいます。
課題を正確に認識したあとは、それを個々の小さな課題へと分割します。
「明日までに報告書を出す」という課題も、「報告書を出す」「明日までに出す」という2つの課題へと分割が可能です。
分割が必要な最大の理由は、「課題は小さくした方が解決しやすい」という点にあります。
さらに、分割することでどこがボトルネックになっているかが明らかになるなどのメリットもあります。
分割したそれぞれの課題に対して、まずはそれぞれの答えを個別に考えていきます。
このとき重要になってくるのが仮説構築の力で、いきなり「これが最適な答えだ」と決めつけるのではなく、1つの仮説として設定することが大切になってきます。
仮説の段階にとどめることで、その妥当性をしっかりと検証するという次のプロセスが生まれてくるからです。
すべての実験が仮説の正しさを検証するプロセスであるように、仕事で最適解を求める際にも検証・参照のプロセスが非常に重要になってきます。
ここで用いるのが「なぜ」という疑問詞であり、どれだけ多角的に「なぜ」をくり返したかによって検証・参照の精度が違ってきます。
知識や過去の経験等を総動員して、仮説が正しいことを立証していくのです。
検証・参照のプロセスを経ることによって、個々の課題に対する最適解が見つかります。
しかし、この段階ではまだ、成果につながる答えを見出したことにはなりません。
個々の最適解とは言わば個別最適であり、それが全体最適を生むとは限りません。
全体最適を生むための最終調整こそが選択というプロセスの本質であり、個々の答えの「最適な組合せ」を見出す必要があります。
選択によって見出した真の最適解は、残念ながらそのままでは成果を生み出しません。
仕事はチームとして行うのが基本であり、メンバー全員と共有することによってはじめて、成果に向けて動き出すことができるのです。
共有のためには、伝わる言葉で最適解を説明する必要があります。
頭のなかで考えた言葉を話す言葉に再構成することで、ロジカルシンキングが完成します。
特に若手から中堅社員の時代には、仕事の「段取り」が成果を大きく分けることになります。
今の自分に期待される成果を正確に認識し、最適解を求めることができれば、確かな成果を期待することができます。
特に「段取り」に必要とされるのは個々のタスクが必要な「理由」であり、それらをしっかりと見出すことによって誤りのリスクが減少します。
そのうえで、全体としての実行可能性に配慮し「段取り」を組んでいきます。
ロジカルシンキングの力が効果を発揮する場面です。
マーケティングとは、商品やサービスをできるだけ効果的に販売するために必要となるすべてのアクションを指します。
メインの業務である情報収集では、「自分は何を知りたいか」という問いを明確化することが生産性の高い仕事に直結しています。
課題認識はもちろんのこと、仮説構築と検証・参照のプロセスを適切に踏んでいくことがとても重要になってきます。
ロジカルシンキングの力を身につけることで、期待される成果の実現がぐっと近づきます。
ビジネスを円滑に進めていくためには言葉の遣い方が重要になってきます。
日々のメールや、企画書・報告書といった多くの文章作成が要求され、それらをしっかりと書き切ることができれば生産性の高い働き方を実現することができます。
目的と結論を明確化し、根拠をしっかりと示す。
相手に伝わるビジネス文書にはこれらの要素が必要とされますが、ロジカルシンキングの要素と重なる部分が非常に大きく、思考の力が成果に直結すると考えて差し支えありません。
成長と共に仕事のスキルがアップしてくると、社外等で多くのプレゼンテーションを任されます。
プレゼンテーションとは相手に「プレゼント」するものであり、常に相手の立場を意識し、自分よりも相手の理解を大事にして語りかける必要があります。
相手の立場を理解するためには、仮説構築ならびに検証・参照の力、そして再構成に関わる言葉の力が重要になってきます。
まさにロジカルシンキングが効果を発揮する場面であるといえます。
ここまでくり返しお伝えしてきた通り、ロジカルシンキングの力を駆使することによって生産性の高い働き方を実現することができます。
「なぜ」と問い続けることによって、仕事の目的だけでなく必要なタスクや取り組み方法などが明確な「つながり」と共に見えてきます。
表現を変えるならば、ムダなく効率的に仕事を進めていくことができるようになるわけです。
特に若い頃から論理的に考える力を身につけることができれば、成長速度を速める結果にもつながります。
現代のビジネス環境が激しく変化していること、「VUCA時代」などとも言われるように、予測が困難な時代になってきていることはご存知の通りです。
時代の変化にしっかりと対応し、予測困難な時代においても確かな成果を出していくためには、思考の基礎をしっかりと固めることがとても重要になってきます。
ロジカルシンキングとはまさに変化に対応する思考の基盤となるものであり、それを身につけることによって困難な時代を乗り越えていくことができるようになります。
現代は変化の激しい時代であると同時に、社会に生きる人々の価値観が激しく多様化している時代でもあります。
組織にも多様な考え方を持つ人が集まり、働き方や生き方はもちろんのこと、仕事の成果や進め方についても様々な意見が出されるケースが少なくありません。
こうした状況に対応するためには、多様な価値観を受け容れる共通のモノサシが必要となってきます。
ロジカルシンキングには共通のモノサシとしての役割もあり、この点でも重要性を増しています。
上記の効果をもたらすロジカルシンキング研修について、弊社では以下のようなプログラムをご用意しています。
お客様のご要望に応じて内容をカスタマイズすることも可能ですので、まずはご遠慮なくお問合せください。
ここまでロジカルシンキングの概要、思考の6つの重要なプロセス、仕事上のどのような場面で必要とされるかなどについて確認してきました。
一朝一夕に身につくものではありませんが、早い段階で意識づけを行い、日々の仕事のなかで思考を積み重ねていくことが重要になってきます。
早期の受講によってスタートのタイミングを早め、実践に移す機会を増やすことが大切といえます。
ぜひともロジカルシンキング研修の導入をご検討いただければ幸いです。