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2022.04.25
コラム

人事制度とは~種類・目的・運用の基本知識~

高度経済成長以後、日本の企業の人事制度は大きく変遷してきました。その時代ごとに最適な制度を模索しながら、改善をくり返してきたわけです。

 

とはいえ、VUCA時代とも呼ばれる予測が困難な時代にあって、社会の変化や社員の価値観の多様化といった時代と既存の人事制度とが乖離を見せはじめ、悩みを抱えている企業は少なくないのが現実です。

 

この記事では、人事制度の変遷の歴史や、それぞれの制度のメリット/デメリットを概観しながら、人事制度が必要な理由、制度を構成する要素について詳しく確認し、適切な制度運用に向けたヒントを提供していきます。

 

また、弊社で提供しているサービスについてもご紹介していますので、ぜひお役立てください。

人事制度の種類と概要

●人事制度の種類と変遷

人事制度の種類

日本の人事制度は高度成長期から制度としての形を見るようになり、時代や経済状況などの変化に合わせてその姿を変えてきました。

 

大きく分けると日本の人事制度には4つの種類があり、それらは時代が古い順に「年功序列型」「職能型」「成果型」「新成果型」と呼ばれています。

 

まずはこれらの変遷の歴史を見ていくことにしましょう。

 

 

人事制度の変遷

「年功序列型」人事制度は、いわゆる終身雇用制度を背景としながら、ものづくり企業を中心に高度成長から安定期の日本社会を支えてきました。

 

しかし安定期を過ぎてバブル期に突入すると、単に年齢や経験年数を根拠とする制度への批判が強まり、「職能型」人事制度を導入する企業が増えてきました。

 

その後、90年代に入り中途採用の仕組みが浸透してくると、能力よりも成果に重きを置いた「成果型」人事制度が要請されるに至ります。

 

成果をベースとする制度は現在でも多くの企業で導入されていますが、行き過ぎた成果偏重主義への反省、多様化する価値観への対応などといった観点から、21世紀に入ってからは、成果にプロセスや組織貢献等を加味した、「新成果型」への移行が行われています。

 

 

●人事制度の概要

「年功序列型」人事制度

終身雇用が当たり前だった時代に、勤続年数や経験年数に比例してスキルが向上するという前提に考えられたのが、年功序列型の人事制度です。

 

社員の帰属意識が高まり定着が見込める、育成がしやすいといったメリットがある反面、目的意識や成長意欲を持ちにくい、また、人件費が常に右肩上がりを続けるなどのデメリットがあります。

 

この制度では、能力のある人材が必ずしもそれに見合った評価を得られないため、職能型という発想が生まれました。

 

 

「職能型」人事制度

年功序列型による不公平感を解消するために考えられたのが職能型の人事制度になります。

 

その人の持つ能力によって等級や報酬を決定するモデルであり、年功序列型では埋もれていた人材が評価される=モチベーションが高まるといったメリットがあります。

 

しかしながら、日本では年功序列型の要素が未だ色濃く残っていることから、右肩上がりになる人件費の問題を解消するまでには至らず、その点がデメリットとして残ることになりました。

 

 

「成果型」人事制度

職能型のデメリットを解消し、また、中途採用が増えてきた社会の実態を反映して登場したのが成果型の人事制度です。

 

この制度では成果を上げた人が昇進し、報酬を得る。結果を出さないと生き残ることができない点に大きな特徴があります。

 

しかし日本では、行き過ぎた成果主義により個人主義が加速し、組織の育成力が低下する。評価を得るために予め目標を低く設定するなどの弊害が多く見られるようになり、むしろ企業が低迷する結果を招くことになりました。

 

 

「新成果型」人事制度

旧来の職能型の反省をもとに登場したのが新成果型と呼ばれる人事制度です。

 

グローバル化、ダイバーシティの進展等の社会の変化とも呼応しながら、単に成果だけで評価するのではなく、成果に至るまでのプロセスや、人材育成など組織への貢献などと組み合わせて多角的に評価を試みる点に大きな特徴があります。

 

これによってマネジメントも管理から開発へと焦点が移行し、多様な働き方も許容されるようになりました。

人事制度の目的とは

●なぜ人事制度が必要なのか

人事制度が必要な5つの理由

人事制度とは、人材の能力を引き出し、活用するための仕組みであり、その目的は企業価値を高める点にあります。

 

単に毎年の評価や給与を決めるためのモノサシではなく、具体的には次の5つの理由から、人事制度が必要とされています。

 

① 働く人の意欲・能力を向上させる

② 役割を明確にし、「適材適所」を実践する

③ 企業が大切にする価値観を組織に浸透させる

④ 企業としての競争力や企業価値を向上させる

⑤ 企業が持つ資源を公正に分配する

 

これからの時代は、コロナ禍の経験等も踏まえながら、個人のスキルや経験等に応じた個別の役割を設定し、時間や場所に縛られることのない働き方を許容する時代へと移行していきます。

 

だからこそ、時代に即した人事制度の整備が必要となってくるのです。

 

 

人事制度を構成する3つの要素

厳密な意味でいうと、人事制度には2つの意味があります。

 

広義の人事制度とは従業員の採用、評価、配置、報酬、育成、代謝、労務等の諸制度を意味し、狭義の人事制度とは「等級制度」「評価制度」「報酬制度」という3つの要素からなる処遇の仕組みを意味しています。

 

これら3つの要素はそれぞれに深く結びついており、後述するように、制度の適切な運用を意識した場合には、その内容をしっかりと把握しておく必要があります。

 

 

●3つの構成要素の概要

等級制度

等級制度とは、従業員を「能力」「職務」「役割」等によって序列化する、人事制度の骨格をなす制度を言います。

 

人材の序列や責任、権限などはこの制度によって定められた等級を根拠として決まっていきます。

 

何を基準として等級を定めるのかといった点にその企業の人材観が反映され、組織デザインや企業風土にも大きな影響力を与えることになります。

 

 

評価制度

評価制度とは、一定期間の従業員の行動や成果を評価する仕組みを定めた制度を言います。

 

何を評価するか(評価項目)、どう評価するか(評価基準)を明確化することで、 従業員の行動を方向づけます。評価の結果は等級や報酬に反映され、等級が変わることで評価の項目や基準も変化します。

 

評価項目や基準には複数の考え方があり、企業によっても大きく異なります。

 

 

報酬制度

報酬制度とは、給与や賞与といった報酬の仕組みを言います。

 

一般的に給与は、等級によって一定のレンジ (上限と下限)が定められており、評価によってそのレンジ内での昇給や賞与などが決まる仕組みになっている場合がほとんどです。

 

また、退職金制度や福利厚生なども報酬制度の一環として考えるケースが一般的であると言えます。

人事制度運用のポイント

●人事制度の成功は運用にかかっている

どれだけ素晴らしく詳細に設計された制度があっても、正しく運用がされなければ人事制度の目的を果たすことはできません。

 

その意味で、人事制度の成功は運用にかかっているといえます。

 

具体的には、次の5つの点を意識した運用を心がけます。

 

① 企業方針と評価内容の一貫性(理念との一貫性)

② 教育内容と評価内容の一貫性(求める人物像を軸に考える)

③ 評価者が正しく、人事制度を理解していること(評価者研修)

④ 被評価者が正しく、人事制度を理解していること(制度説明)

⑤ 評価者と被評価者の信頼関係(日常のコミュニケーション)

 

100%の人が100%納得できる人事制度はあり得ないとしても、可能なかぎり適切に運用し、従業員の納得感を高めることが、人事制度成功のカギを握っているのです。

 

 

●多様性を最大限に尊重する

多くの従業員の納得感を高めるという点で重要になってくるのが、多様性を尊重する姿勢です。

 

先にも見てきた通り、現代は価値観が多様化した時代であり、さらに、個人に付与される役割等も決して一様ではなくなってきています。

 

それらに対応することによってモチベーション等が高まり、企業としての成果にもつながっていきます。

 

このような時代の変化を理解し、多様性を最大限に尊重する運用を行っていくことが、人事制度をさらに成功へと近づける結果につながります。

弊社が提供する支援やサポート

●組織開発を支援します

人事制度がしっかりと機能するためには、その土台となる個人と組織づくりが必要になります。

 

社員一人ひとりが自発的に行動することによって個人と組織が相乗効果を生み出し、そのような組織だからこそ、人事制度を効果的に運用することができるわけです。

 

そのために弊社では、組織診断やチームビルディング、会議診断、チーム機能診断など戦略的なサーベイを専門のコンサルタントがきめ細やかに実施しています。

 

単なるルール変更ではなく、その企業にとって最適なプランをご提案いたします。

 

 

●人事制度設計をお手伝いします

組織開発をしっかりと支援したうえで、人事制度設計についてもお手伝いさせていただきます。

 

先に見た「評価制度」「等級制度」「報酬制度」という3つの要素はもちろんのこと、人材育成体系の構築や、各種マニュアル設計についても承っています。

 

また、業務プロセスの改善等が必要な場合には、PDCAサイクルが定着するための仕組みづくりや、企業理念を浸透させる仕組み等も設計しております。

 

まずはどんなに小さな疑問でもけっこうですので、お気軽にご相談ください。

おわりに

ここまで、人事制度の歴史と概要、さらには目的について詳しく見てきました。

 

また、今の時代に人材制度を適切に運用し、企業としての価値を高めていくための留意点についても見てきました。

 

人事制度は社員を客観的に評価するためのモノサシですが、そのモノサシを客観的に眺めるには外部の目を導入することが効果的な場合も多くあります。

 

自社の人事制度や組織の活性化等にお悩みの方は、早期に弊社までご連絡をいただければ幸いです。

 

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